植物におけるシステミック調節
光環境の受容の仕組みは何か?
図1: 光が植物細胞に与える影響
葉に強い光が当たると、①光受容体が活性化され、②炭水化物が蓄積し、③光化学系が還元される。
光受容体と光合成
一方、ArabidopsisのphyB mutant(安定型フィトクロムの変異体)の葉の老化は野生型株と変わらないという報告もあります(Smith and Whitelam 1997)。フィトクロムは弱光環境においてもPfr(活性型フィトクロム、活性型、というのは良くないとも言われているみたいですが)に変化し、場合によっては分解されてしまいます(phyA、超弱光応答型)。したがって、フィトクロムは光があるかないか、の判断に利用されているケースが多いように思います。太陽が出ているような強い環境下での調節に働いている、と考えるのはかなり難しそうです。
青色光受容体であるクリプトクロムやフォトトロピンは、気孔の開閉、胚軸伸長、葉緑体の定位などに関与していることが知られています。気孔の開閉、葉緑体の定位はそれなりに強い光環境下で調節されているものなので、フィトクロムよりは強光環境下の光受容メカニズムとして重要な役割を持つ可能性が高そうです。葉緑体の定位運動を止めると強光下でgiが低下しない、という報告もあり(Tholen et al. 2008)、青色光受容体はgiを介して光合成に影響を与える可能性があります(が、彼らの論文ではphot2変異体のgiには変化が見られなかったようです。ちゃんと読んでないので詳細は論文で確認して下さい)。しかし、青色光のシグナルは細胞を超えて伝わることは無いようです(Tlafka et al. 1999、どういう論文か忘れました)。したがって、システミック調節において、青色光受容体はほとんど役割を持たないのではないか、と、僕は考えています。